税金

法人成りした年の個人事業主・フリーランスの確定申告の注意点

個人事業主・フリーランスが法人化(法人成り)をした場合、個人事業は廃業することになります。

個人事業の廃業した年(法人成りした年)の確定申告については、いくつか注意点があります。

そこで、今回、法人化した年の個人の確定申告について、まとめてみました。
さらに、個人事業の廃業に必要な届出についても、まとめています。

法人成り(法人化)のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。

法人成り(法人化)のタイミングについては、こちらをご覧ください。

個人事業税の見込み金額の経費の計上

個人事業税は、所得税・住民税とちがい、経費にすることができます。
通常は、個人事業税は翌年に支払うため、翌年の経費になります。
ですが、法人成りした年の翌年は、もう個人事業は廃業していますよね。
そこで、法人成りした年の個人事業税については、見込み金額をその年の経費にすることができます。

法人成りをした年の個人事業税の見込み金額は、次のように計算します。

【(A+-B)×R/(1+R)】

  • A=事業所得
  • B=Aにプラスマイナスする金額
    プラスマイナスするのは、基本的には次の2つになります。
    加算(+)するのは、青色申告特別控除(65万円または10万円)
    減算(-)するのは、290万円×廃業までの月数/12カ月
  • R=個人事業税の税率
    個人事業税の税率は、業種により決まっています。
    ほとんどの業種では5%ですが、整骨院などは3%になります。

計算式の意味は、少し複雑ですので省略します。
とりあえず、この計算式に当てはめれば、事業税の見込み金額を計算できます。

例えば
・6月に法人成りをした
・事業所得 500万円
・税率 5%
という場合、事業税の見込み金額は次のように計算されます。
(500万+65万-290万×6カ月/12カ月)×5%/(1+5%)=20万円

減価償却資産は月数按分で経費を計上できる

車両や器具備品などの減価償却資産については、法人成りをした月まで減価償却により経費にすることができます。

この場合、法人(会社)に引き継ぐ金額は、法人成りをした月まで減価償却をした後の帳簿の金額になります。

事業を廃止した後の経費の計上

事業を廃止した後にでてきた費用や損失については、どうなるのでしょうか?
法人成りした後の費用や損失は、法人成りした年の経費にすることができます。
もちろん、何でもかんでも経費にできるわけではありません。
廃業した後の後始末に必要なものに限ります。

法人成りした後の貸倒損失

売掛金などの債権を法人(会社)に引き継がなかった場合、個人事業主・フリーランスが回収することになります。
ですが、もしも法人成りした後に売掛金などの債権が貸し倒れになった場合、貸倒れによる損失を経費にできるのでしょうか?

これについては、法人成りをした年の翌年3月15日(所得税の確定申告の期限)までに、貸倒れによる損失がでた場合は、法人成りをした年の経費にすることができます。

それ以降に貸倒れによる損失がでた場合は、「更正の請求書」という書類を税務署に提出します。
更正の請求により、法人成りをした年の経費にすることができるので、税金が還付されます。

法人成りした後の借入利息は、経費にできない

もしも銀行融資を法人に引き継がなかった場合、あなた個人が借入金の残りを返済することになります。
この場合、廃業した後の利息は経費にできませんので、注意しましょう。

個人事業の廃業に必要な届出

法人成りをすることにより、個人事業の廃業の届出が必要になります。
下記の書類を忘れずに税務署に提出しましょう。

  • 個人事業の廃業届出書
    提出期限は、廃業してから1カ月以内です。
    さらに、都道府県にも、「廃業届」を提出しなければなりません。
    届出書のフォーマットや提出期限は、都道府県により変わりますので、都道府県のホームページをチェックしましょう。
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
    青色申告をしている個人事業主・フリーランスは、提出が必要になります。
    提出期限は、廃業した年の翌年3月15日です。確定申告の期限と同じです。
  • 事業廃止届出書
    消費税の課税事業者(納税する義務があるひと)である場合のみ、提出が必要になります。
  • 給与支払事務所等の廃止届出書
    従業員(専従者)を雇用している場合のみ、提出が必要になります。
    提出期限は、廃業してから1カ月以内です。
  • 所得税の予定納税の減額申請書
    所得税の予定納税は、税金の前払いです。確定申告のときに前払い分は精算されます。
    ですので、年間トータルでは税金の損得はでません。
    ただ、予定納税を減らすことにより、資金繰りを良くする効果はあります。
    提出期限は7月1日~7月15日です。
    (第2期のみの減額申請をする場合は、11月1日~11月15日)

所得税の予定納税について、詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

事業税の見込み金額を経費にできるという点は、忘れやすいです。

個人事業の廃業の手続きについても、ヌケがないように注意しましょう。

法人成りした場合の商品在庫などの棚卸資産の引継ぎについては、こちらをご覧ください。

法人成りした場合の車両などの減価償却資産の引継ぎについては、こちらをご覧ください。

法人成りした場合の債権債務の引継ぎ、借入金の債務引受については、こちらをご覧ください。

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石水 克一

石水 克一

大阪市中央区本町の日本政策金融公庫の創業融資に強い税理士です。 起業家支援に特化した代表税理士が担当者となり、お客様の近くに寄りそって、しっかりと経営サポートをします!

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