税金

法人成りした場合の商品在庫などの棚卸資産の引継ぎのポイント

個人事業主・フリーランスが、法人化(法人成り)をする場合は、個人事業で使っていた資産を法人(会社)に引き継がなければなりません。

資産の引継ぎは、どのような方法で、いくらで引継げばいいのでしょうか?

そこで今回は、事業の資産のうち、棚卸資産(商品などの在庫)の法人成りの引継ぎについてまとめました。
引継ぐ側(個人事業主・フリーランス)と引受ける側(法人(会社))の両方の立場に分けて説明しています。

法人成り(法人化)のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。

法人成り(法人化)すべきタイミングについては、こちらをご覧ください。

法人成りによる棚卸資産の引継ぎの方法

棚卸資産(商品などの在庫)の引継ぎ方法は、次の2つになります。

  • 現物出資
  • 法人(会社)に譲渡

現物出資というのは、お金以外のモノを会社に出資することです。

メリットとしては、お金の支出を伴わないで会社の資本金を増やすことができます。

デメリットとしては、手間と費用がかかってしまう場合があるということです。
特に、現物出資する額がトータルで500万円を超える場合は、裁判所が選んだ検査役(弁護士など)の調査が必要になります。そうなると検査役(弁護士など)への報酬がかかるうえに、非常に時間がかかってしまいます。

譲渡というのは、個人事業主・フリーランスが法人(会社)に売るということです。

メリットとしては、売買契約を結んでお金のやりとりをするだけですので、現物出資に比べて手間と費用がかかりません。

デメリットとしては、法人(会社)が買うことになるので、買取りの資金が必要になるということです。

棚卸資産の譲渡対価(売り値)はいくらにするか

法人成りによる引継ぎは、原則として「時価」での取引になります。
ですので、原則は、通常の販売価格での取引になります。

ですが、所得税のルールで、通常の販売価額の70%程度で販売することが認められています。

棚卸資産を引継ぐ側(個人事業主・フリーランス)

棚卸資産の引継ぎ方法が現物出資・譲渡のどちらであっても、個人事業主側は売ったものとして取り扱われます。

事業所得(個人事業としての利益)として取り扱われますので、通常どおり売上として処理します。

売り値は、通常の販売価額の70%以上であれば問題ありません。

個人事業主・フリーランスは、通常の販売価額よりも安く商品を売った場合、利益が少なくなるため、所得税は安くなります。

もしも70%未満の売り値にした場合は、どうなるのでしょうか?
その場合は、70%の値段で売ったものとして取り扱われます。
差額分は、売上を追加で計上して、その分の税金を納めなければなりません。

例えば、100万円の商品を50万円(50%)で会社に売った場合ですと、
会計の売上はもちろん50万円になりますよね。ですが、税金上の売上は70万円(70%)になります。
差額の20万円については、売上20万円を追加で計上して、修正申告をしてその分の税金を納めなければなりません。

棚卸資産を引受ける側(法人(会社))

法人(会社)側は、商品などの棚卸資産を個人事業主・フリーランスから引受けます。
もちろんですが、商品を引き受けた後は外部に販売していきます。

法人は、70%以上の販売価額で引き受ければ問題ありません。
逆に、通常の販売価額よりも高く買うのは認められません。

会社は、通常の販売価額よりも安く商品を引受けた場合、仕入値が安くなります。そうすると、外部に売ったときに利益が多くなるため、法人税は高くなります。

例えば、個人事業主から引受けた商品(時価100万円)を、外部に120万円で販売する場合ですと、次のようになります。

  • 個人事業主から70万円で引受けると
    120万円-70万円=50万円の利益について、法人税がかかります。
  • 個人事業主から100万円で引受けると
    120万円-100万円=20万円の利益について、法人税がかかります。

まとめると、販売価額よりも安く取引した場合、以下のようになります。

  • 個人事業主・フリーランスは、所得税が安くなる
  • 法人(会社)は、法人税が高くなる

まとめ

いかがでしたでしょうか?

法人成り(法人化)をした場合の棚卸資産については、通常の販売価額の70%以上で取引きしなければなりません。

通常の販売価額よりも安く引き継いだ場合、所得税は安くなりますが、法人税は高くなります。

いくらで引き継ぐかは、所得税と法人税の税率のちがいや、消費税が課税か免税かなどを考慮して決めましょう。そうしないとトータルでの税金で損をしてしまうかもしれません。

ですので、具体的にいくらにするかは、税理士に相談することをおすすめします。

法人成りした場合の車両などの減価償却資産の引継ぎについては、こちらをご覧ください。

法人成りした場合の債権債務の引継ぎ、借入金の債務引受については、こちらをご覧ください。

法人成りした年の個人事業主・フリーランスの確定申告の注意点については、こちらをご覧ください。

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石水 克一

石水 克一

大阪市中央区本町の日本政策金融公庫の創業融資に強い税理士です。 起業家支援に特化した代表税理士が担当者となり、お客様の近くに寄りそって、しっかりと経営サポートをします!

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