税金

法人成りした場合の債権債務の引継ぎ、借入金の債務引受のポイント

個人事業主・フリーランスが、法人化(法人成り)をした場合は、個人事業のときの売掛金・買掛金、未収入金・未払金などの債権債務はどうなるのでしょうか?

さらに、銀行融資を会社に引き継いだ場合、資産と負債のバランスによって税金で大きなダメージを受けてしまうことがあります。

そこで今回、法人化(法人成り)をした場合の債権・債務の引継ぎ、そして銀行融資を受けていた場合の債務の引受けについてまとめました。

法人成り(法人化)のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください

法人成り(法人化)のタイミングについては、こちらをご覧ください。

法人成りによる債権債務の引継ぎの方法

債権債務の引継ぎ方法は、次の2つになります。

  • 現物出資
  • 法人(会社)に譲渡

現物出資というのは、お金以外のモノを会社に出資することです。

メリットとしては、お金の支出を伴わないで会社の資本金を増やすことができます。

デメリットとしては、手間と費用がかかってしまう場合があるということです。
特に、現物出資する額がトータルで500万円を超える場合は、裁判所が選んだ検査役(弁護士など)の調査が必要になります。そうなると検査役(弁護士など)への報酬がかかるうえに、非常に時間がかかってしまいます。

譲渡というのは、個人事業主・フリーランスが法人(会社)に売るということです。

メリットとしては、売買契約を結んでお金のやりとりをするだけですので、現物出資に比べて手間と費用がかかりません。

デメリットとしては、法人(会社)が買うことになるので、買取りの資金が必要になるということです。

債権債務は引き継がない方がいい

債権債務の引継ぎの方法を説明しましたが、債権債務を法人(会社)に引き継がないということもできます。
債権債務を引き継がない場合は、個人所業主・フリーランスが回収・支払をすることになります。

債権債務については、引き継がないことをおすすめします。

理由は2つあります。

一つは、債権債務の回収・支払は、個人ですでに売上・経費が確定した後の話ですので、基本的には個人と法人どちらにも税金の影響はありません。

もう一つは、債権債務を現物出資・譲渡により引き継ぐ場合、債権者・債務者への承諾・通知が個別で必要になるなど手続きがとても大変になってしまいます。

ですので、債券債務は引き継がずに、個人事業で回収・支払をすることをおすすめします。

法人成りした後の債権の貸倒れリスクへの対応

売掛金などの債権を法人(会社)に引き継がなかった場合、個人事業主・フリーランスが回収することになります。
ですが、もしも法人成りした後に売掛金などの債権が貸し倒れになった場合、貸倒れによる損失を経費にできるのでしょうか?

これについては、法人成りをした年の翌年3月15日(所得税の確定申告の期限)までに、貸倒れによる損失がでた場合は、法人成りをした年の経費にすることができます。

それ以降に貸倒れによる損失がでた場合は、「更正の請求書」という書類を税務署に提出します。
更正の請求により、法人成りをした年の経費にすることができるので、税金が還付されます。

個人事業で銀行融資を受けていた場合の債務引受

個人事業主・フリーランスのときに銀行融資を受けていた場合については、どうすればいいのでしょうか?

一番シンプルなのは、借入金を会社に引継がずに、個人で完済するという方法です。

ですが、個人で完済するだけの資金を用意するのは難しいことも多いでしょう。
ですので、法人(会社)が借入金を引受けることが必要になる場合が多いです(債務引受といいます)。

銀行借り入れを会社に引き継ぐ場合は、事前に銀行に相談することが必須です。

理由は、個人事業主・フリーランスと会社はまったくの別物だからです。
銀行はあくまでも個人に融資をしています。ですので、会社に銀行融資を引継ぐ場合は、銀行の同意が必要になります。
銀行からすると、新たな借り手になる法人(会社)について貸していいのかどうか融資の審査が必要になります。

銀行借り入れの債務引受は必ずできるとは限らないので、銀行への事前の相談が必要になります。

法人成りの引継ぎが資産よりも負債の方が多い場合

銀行融資などの負債を会社に引き継ぐ場合、もう一つ注意しなければならないことがあります。

それは、個人事業主・フリーランスが会社へ引き継ぐ資産よりも負債の方が多いです。
この場合、役員賞与として取り扱われ、税金で大きなダメージを受けてしまいます。

いったいどういうことでしょうか?

例えば、資産200万円・負債500万円を会社へ引き継いだ場合、差引き300万円の負債が法人に移ります。
そうすると、あなた個人は300万円の負債の支払いをしなくてもいいことになります。

つまり、あなた個人は300万円の得をしたことになりますよね。この得した300万円について会社からあなたへの役員賞与として取り扱われます。

役員賞与の取り扱いになった場合は、税金で大きなダメージを受けてしまいます。
具体的には、役員賞与は会社の経費にすることはできないうえに、あなた個人の所得になります。
つまり、役員賞与となった場合、法人税と所得税の両方がかかってしまいます。

ですので、会社に引き継ぐ資産と負債のバランスには、注意が必要になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

債権債務は法人(会社)に引き継がないことをおすすめします。

ですが、銀行融資については、会社に引き継がなければ、個人が完済しなければなりません。
それが難しい場合は、会社が債務の引き受けをしなければなりません。
会社が借入金を引受ける場合には、必ず銀行に事前の相談をしましょう。

さらに、会社に引き継ぐ資産と負債のバランスには注意が必要です。
会社に引き継ぐ資産よりも負債の方が多い場合は、役員賞与として取り扱われ、税金で大きなダメージを受けてしまいます。

法人成りした場合の商品在庫などの棚卸資産の引継ぎについては、こちらをご覧ください。

法人成りした場合の車両などの減価償却資産の引継ぎについては、こちらをご覧ください。

法人成りした年の個人事業主・フリーランスの確定申告の注意点については、こちらをご覧ください。

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石水 克一

石水 克一

大阪市中央区本町の日本政策金融公庫の創業融資に強い税理士です。 起業家支援に特化した代表税理士が担当者となり、お客様の近くに寄りそって、しっかりと経営サポートをします!

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